欧州情勢に一喜一憂
今週の欧州ではギリシャ問題が同国内外で山場を迎え、為替(FX)市場は引き続き欧州情勢に振舞わされる事になるであろう。また、米国でも米連邦公開市場委員会(FOMC)での金融政策の方向性に注目が集まる。
これまでギリシャの追加支援の方向性について、ドイツと欧州中央銀行(ECB)の間で民間投資家の関与が争点となり対立を深めつつあったが、17日(金曜日)にはドイツのメルケル首相が譲歩し、フランスのサルコジ大統領との会談後に追加支援への民間投資家の参加は強制せず、自発的なベースでの参加を望むと表明した。争点となっていた民間投資家の参加の是非の方向性が確認できたことは、大きな前進といっていいだろう。23−34日で開催されるEU首脳会合で追加支援案がどれだけ纏まるのかどうかである。ただ、ギリシャの追加支援決定は、7月11日の定例のユーロ圏財務相会合まで持ち越される予定となっていることから、最終決定されるまで安心できない。
直近で最も注目されるのは、21日に行われるギリシャ議会でのパパンドレウ首相率いる新内閣への信任投票を巡る最終審議である。もし信任決議が否決されれば、一段の混乱は避けられない。欧州各国がギリシャへの追加支援を具体化(決定)しても、ギリシャ議会で緊縮財政案を通過させることが難しくなり、ギリシャのデフォルトの可能性が高まることになる。既にギリシャの最大野党、新民主主義党のサマラス党首は、議会での信任投票で政府を支持しないと明言し、早期に選挙を実施する事を求めた。一方で、パパンドレウ首相は政治制度改革のための憲法改正を目的とした国民投票を年内に行う計画を発表している。
現在、不安定な状況のなかユーロが下げ渋っているのは、欧州当局がギリシャのデフォルト回避のために尽力して、市場への影響を最小限にとどめてくれるとの期待感に過ぎない。今のところ、ユーロ圏でのギリシャの追加支援策が最終決定していないことや、ギリシャ国内の緊縮財政案の行方と政局の混迷が、市場への不安を増幅させている。ユーロは一時的な反発の可能性はあるが、ギリシャ問題の方向性が明確になるまでは、上値の重い展開が続くことになろう。
※デフォルトとは債務不履行のことであり、他にもCDS(クレジットカード・デフォルト・スワップ)などがある
もう一方の注目材料は、21−22日に開催される米FOMCである。日本時間木曜日の午前1時半に声明が発表された後、米連邦準備制度(FRB)のバーナンキ議長の記者会見が行われる。今月に入って複数回行われたバーナンキ議長の講演では、金融引締めを匂わす発言こそなかったが、金融再緩和(QE3)に関する言及もなかった。現在のところ昨年11月に決定したQE2を予定通り今月で終了させ、様子見に入るというのがFRBのシナリオと思われる。米国の経済指標が市場予想を下回るケースが増えてきた現状から、景気回復の後退も囁かれる中、記者会見でのQE3の可能性について示唆する発言があるかどうか見定める必要がある。万が一、QE3について示唆する発言があれば、金融緩和策は継続するということになり米ドルは下落することになる。もし無難に米FOMCを終えることができたとしても、米経済指標の弱さが米金利を低下させUSD/JPYは軟調な展開となろう。
尚、米下院金融委員会は、バーナンキ議長が半期に一度の議会証言を7月13日に行うと発表している。どちらにしてもバーナンキ議長の発言には注意が必要である。